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 私が担当した刑事弁護事件について,執行猶予判決を得ることができました。

 その判決においては,被告人が反省を深めていたことが摘示されたため,被告人が反省を深めることについて弁護人がどのように手助けができるかについてお話したいと思います。

 多くの被告人は,自らの犯した罪を反省しています。しかし,その反省を上手く言葉で表現できなかったり,反省した後にどのように行動したらよいか分からなかったりする場合も多いです。また,裁判では,反省が不十分であると指摘されることもあります。

 弁護人は,被告人が逮捕・勾留されていた段階から何度も接見を行います。その際に私は,何故犯罪を行ったかや,被害者への思いを聞いたりして,できるだけ反省の機会を提供するようにしています。

 反省が進んでいない被告人には思っていることを毎日書いてもらい,接見のたびに日々変化する被告人の反省文を確認し,より反省を深めるべき点を話したり,反省した結果どのように行動したらよいかをアドバイスしたりします。

 また,反省を促すために,書籍を差し入れたり,被害者の供述内容を伝えたりすることもあります。

 そして,裁判において,弁護人は,被告人の反省を説得的に裁判所に示すために,分厚い反省文を提出したり,本人の口から詳しく反省内容を話してもらったりと様々な工夫をこらします。

 被告人が反省を深めることは,再犯のおそれがなくなるという意味で,社会的にも被告人にとっても望ましいことです。

 また,よく周りの方から「なぜ悪い人の弁護をするのか?」と聞かれることがありますが,弁護人が弁護活動をする理由の一つとして,被告人の反省を間近で感じることができる点もあるのではないかと思います。

 被告人からだけではなく,被告人の反省を深める弁護活動を望むご家族からのご依頼があれば,喜んで弁護活動を行いたいと考えています。

名古屋丸の内本部事務所 丸山 浩平

 黙秘権とは,言いたくないことは言わなくも良いという権利のことで,憲法38条1項で,「何人も自己に不利益な供述を強要されない」と定められています。

 刑事訴訟法198条2項では,「取調に際しては,被疑者に対し,あらかじめ,自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げなければならない。」と定められており,取調べ官に対し,黙秘権を告知する義務が課されています。

 しかし,逮捕されてしまった方は,狼狽しているため,黙秘権を告知されたとしても,その意味をよく理解できずに,供述をしてしまうということがよくあります。

 黙秘権は憲法上保障されている権利ですので,言いたくないことがあるのであれば,自信を持って黙秘権を行使しましょう。

 また,供述調書に指印を押すことは求められたとしても,それに従う義務はありません。自分が供述した内容と異なることが書かれているのであれば,訂正を求め応じてもらえなければ供述調書に指印を押さなくとも良いのです。

 日本の刑事裁判は証拠裁判主義を採用しています。捜査機関に真実と異なる証拠を与える必要はございません。

 黙秘を貫き通したことで,不起訴になったという方も,逮捕された罪より軽い事実で起訴されたという方もいらっしゃいます。

 私は,虚偽の供述をすることを推奨するわけではありません。しかし,黙秘権を行使することは決して悪いことではないため,黙秘権を行使したいと思うのであれば,自信を持って黙秘権を行使することが重要です。

 弊所は,黙秘権行使の具体的方法等を接見で被疑者の方に助言し,不起訴処分や執行猶予判決を勝ち取った実績が多数あります。ご家族や親しい方が逮捕されてしまった場合には,愛知総合法律事務所までお気軽にご相談ください。

名古屋丸の内本部事務所 森 正晴

 刑事事件に関しては,主に被疑者として警察から捜査を受けることとなった方からのご相談が多いですが,被害者の方からご相談を受けることも増えてきているため,今回,被害者の方の刑事事件への関わり方について,ご紹介させていただければと思います。 刑事裁判における当事者は,検察官対被告人という構図となっているため,刑事裁判おいては被害者の方は当事者ではありません。しかし,実際に犯罪の被害に遭った当事者は被害者の方であることから,被害者も刑事裁判に関わっていけるようにすべきとの考えのもと,被害者の方が刑事裁判へ参加することのできる「被害者参加制度」という制度が設けられています。この制度により,一定の犯罪に遭われた被害者の方が,参加の申出をして認められれば,刑事裁判において意見陳述をすることなどが可能となりました。 このほかに被害者の方に有益な制度として,「損害賠償命令制度」という制度が設けられております。 これまで,被害者の方が,加害者に対して損害賠償を求めるため民事訴訟を提起しようとする場合,刑事裁判の審理が大きく影響してしまうため,刑事裁判の終了後に民事訴訟を提起することを余儀なくされていました。しかし,民事裁判では,被害者に立証責任があるとともに,時間もかかるため損害の回復が遅延するといった問題が指摘されていました。 そこで,「損害賠償命令制度」という制度が設けられ,刑事裁判で一定の対象犯罪について有罪判決が言い渡された後に,判決を言い渡した刑事裁判所がそのまま損害賠償命令の申立てについて審理を行うことが可能となりました。 この制度により刑事裁判の事実認定が損害賠償命令の審理に引き継がれるため,被害者の方の立証の負担が軽減されるとともに,原則4回以内の期日で審理が終結するため,通常の民事裁判によるより,被害者の方への負担が少なくなっております。 上記の制度は,まだまだ一般の方になじみのある制度ではありませんが,被害者の方にとって有益な制度であるため,利用をご検討される場合には,一度弁護士等の専門家へご相談されることをお勧めいたします。

名古屋丸の内本部事務所弁護士 黒岩 将史

1 はじめに
 平成30年1月からは,煽り運転に対する取り締まりが強化されています。
 煽り運転とは,道路走行中の自動車等に対し,周囲の運転者が何らかの原因や目的で道路における交通の危険を生じさせる行為です。
 昨今,問題視する声が高まっている煽り運転をすると,どのような罪が成立するのでしょうか。2  煽り運転に対する刑罰
(1)道路交通法違反
 煽り運転によって前の車との車間距離を詰めすぎると,車間距離保持義務違反となり(道路交通法26条),以下の刑罰が科せられる可能性があります。
・高速道路での違反の場合,3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金
・一般道路での違反の場合,5万円以下の罰金(2 )暴行罪
 刑法第208条では「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったとき」は暴行罪が成立するとされています。死傷事故を生じさせなくとも,他者の身体を負傷させる可能性が高い悪質な運転行為を行った場合には暴行罪が成立し,2年以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる可能性があります。(3)危険運転致死傷罪
煽り運転により,死傷者が出た場合には,危険運転致死傷罪が成立し,以下の刑罰が科せられる可能性があります。
・負傷事故の場合,15年以下の懲役
・死亡事故の場合,1年以上20年以下の懲役
3  おわりに
 東海地域の中でも,特に愛知県は車社会といわれ,都道府県別の交通事故死者数は15年連続で全国ワーストとなっています。愛知県名古屋市周辺での悪質性の高い運転行為は,「名古屋走り」と呼称されていたりもします。煽り運転等の危険な運転行為を問題視する声が高まる中,上記のような刑罰に問われる可能性も高まっています。
 まずは,安全運転に努めることが第一ですが,もし,危険な運転行為により事故を起こしてしまった場合には,早期に,弁護士にご相談することをお勧めします。
 愛知総合法律事務所では,数多くの刑事事件,交通事故事件を扱っております。愛知・三重・岐阜の東海地域にお住まいの皆様で,ご自身やご家族が,危険な運転行為による事故を起こしてしまった場合には,お気軽にご相談ください。

東京自由が丘事務所弁護士 田村 祐希子

 ある時思いもよらず刑事事件の被疑者となってしまった場合,弁護人の選任方法としては,大きく分けて国選弁護と私選弁護というものがあります。国選弁護人という言葉を耳にしたことがある方はいらっしゃるかもしれませんが,それぞれどこが違うのか簡単に説明したいと思います。

 まず,国選弁護というのが,刑事訴訟手続において,貧困などの理由で私選弁護人を選任することができないときに国が弁護人を選任するものであるのに対して,私選弁護では被疑者や被告人又は一定の家族が弁護人を自ら選んで委任契約を締結するというかたちをとります。   

 私選では,国選と異なり委任契約を締結するので,必ず弁護士費用が発生します。国選においても被告人が費用の負担を命ぜられることはありますが,負担しても私選と比較すれば低額となります。この点は国選弁護における大きなメリットと言えます。

 それ以外にも,私選弁護人については,逮捕直後の時期からでも選任することができますが,国選は被疑者に対して勾留状が発せられた段階で選任がなされるので(ちなみに,平成30年6月1日から被疑者国選の対象事件が拡大されています。),逮捕直後の初動対応について弁護士に頼みたいということであれば私選弁護人を選任せざるを得ません。

 以上の違いを前提として,いずれを選択するのがよいでしょうか。

 まず大前提として,国選・私選のいずれであっても弁護人である以上,法的な権限は異なりません。また,いずれも被疑者・被告人となった者のために最善を尽くす義務があります。そうすると,費用面を考慮して国選を選択するほうがよいとも考えられそうです。

 しかし,国選弁護では前述の通りどの弁護士を選任するかの選択権が被疑者側にはありません。これが最も大きな違いであると言えます。そのため,刑事弁護の経験が少ない弁護士が選任されるということも十分あり得ます。

 もっとも,刑事弁護が必要な時というのは自分の人生がかかった場面ですので,より刑事弁護に詳しい信頼のおける弁護人を選任したいと考えるのが通常だと思います。その場合には私選で弁護人を選任するということも考えなければなりません。

 弊所には刑事弁護の経験が豊富な弁護士が多数在籍しております。私選で弁護人を選任したいということであれば,いつでもご相談いただければと思います。

丸の内本部事務所 弁護士 田中 隼輝

 身柄が拘束されている場合,その一日も早い身柄の解放は何よりも重要です。
 保釈が許可されれば,依頼者は元の生活を送りながら裁判に対応できますし,弁護人との充実した打合せも可能だからです。
 そこで,今回は保釈について見ていくこととします。

 1 タイミング
  まず,保釈請求は,起訴されたタイミングで行います。そのため,起訴前の被疑者段階では保釈請求はできません。弁護人が起訴の可能性があると判断した場合,捜査段階から保釈に向けて準備するため,起訴のタイミングにあわせて保釈請求ができます。また保釈請求に回数制限はありませんので,起訴直後に保釈請求をして通らなかったとしても,手続が進んだ後で再度保釈請求を試みることもできます。


 2 保釈の判断
    次に,保釈請求をして通るか否かの基準についてですが,保釈には,主に権利保釈と裁量保釈とがあります。しかし,権利保釈が認められることは稀で,ほとんどのケースは裁量保釈によって保釈が認められています。そして裁量保釈は,逃亡・罪証隠滅のおそれ(保釈の相当性)や,身体拘束の継続によって被告人が受ける健康上,経済上,社会生活上のまたは裁判準備上の不利益の程度(保釈の必要性)を考慮して判断されます。

3   事前準備の内容
      保釈請求のための事前準備として,保釈の相当性・必要性を示すため,①身元引受人の確保(身元引受人の陳述書,身元引受書),②被告人の給与明細書(被告人の経済状況),③保釈金準備,④被告人の反省文,⑤被告人の診断書,⑥被害者との示談書などの書類を準備します。弁護人において,これらの書類をあらかじめ収集しておき,起訴のタイミングで保釈請求書とともに裁判官に提出します。

4  保釈金(保釈保証金)
 では,保釈金とは具体的にいくらくらいなのでしょうか。この点については,保釈金の相場は,150万円から200万円までといわれています。もっとも,保釈金の金額は,被告人の経済状態によっても左右されます。たとえば,被告人や被告人の家族が経済的に豊かでない場合は,保釈金が低額でも十分に出頭確保に役立つ事を主張して裁判所を説得することも可能性としてはあります。また,多額の保釈金を一度に納めるまでの資力がないという方は,保釈金を立て替えてくれる日本保釈支援協会もありますので,同協会を利用して保釈請求可能ですので,あきらめる必要はありません。

5  最後に
  突然身体を拘束され,日常と異なる空間に閉じ込められた被疑者・被告人にとって,一日も早い身柄解放は最優先課題です。

 ご自身やご家族が突然逮捕・勾留された場合は,早めにご相談ください。一刻でも早く日常の平穏を取り戻すために尽力します。

名古屋丸の内本部事務所 弁護士 横田 秀俊

 平成30年6月1日より、改正刑事訴訟法が施行されます。

 その中で日本版の司法取引制度が開始されます。

 特定の財政経済犯罪及び薬物銃器犯罪について、被疑者・被告人が、共犯者などの他人の刑事事件の解明について協力行為を行うと、検察官が、その協力行為に対する見返りとして、不起訴などの、被疑者・被告人の刑責を軽くすることを内容とする合意をすることができるという制度です。

 この合意をする際には、その被疑者・被告人の弁護人が同意を行うことが条件となります。

 刑事弁護人の立場としては、色々と考えなければならないことが出て来ます。

 まず、被疑者・被告人の弁護人としては、合意をするに際して、本当に刑責が軽くなっているのかという点は特に注意が必要な点です。

 仮に合意により不起訴になったとしても、検察審査会の審議で起訴の議決がされると、合意の効力が失われ、起訴がされるという可能性もあります。

 また、司法取引目的で、軽微な犯罪を理由にした逮捕等が行われることも危惧されるところです。

 捜査機関に提供する情報が、真実の情報であるのかという点にも注意が必要です。

 次に、司法取引によって協力行為が行われた共犯者などの他人の立場で考えると、自らの刑責を軽くするために、虚偽供述が行われてしまい、えん罪に巻き込まれる危険があります。

 虚偽の協力行為に対して、適切に対応していくことが必要になります。

 新しい制度ですので、運用されていく中で、様々な問題が起きてくる可能性があります。

 当事務所としましては、新しい制度に対しても、速やかに適切な対応をしていきたいと思います。

日進赤池事務所 弁護士 水野 憲幸

 外国人の刑事事件においては、どのような判決を受けるかということ以上に、今後も日本に残れるのかという在留に関する問題が重要視されることがあります。

 今後も日本に残れるのかということについて考えるとき、①その事件が退去強制事由に該当するのか、②また在留特別許可が受けられるような事情があるかどうかについて、それぞれ検討する必要があります。

 ①の退去強制事由につきましては、永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者といった在留資格を有する方と、それ以外の在留資格を有する方とで基準が異なります。たとえば、傷害事件を起こした場合、前者の資格を有する方の場合は、たとえ懲役刑となっても執行猶予が付けば退去強制事由に該当しないのに対して、後者の場合は、懲役刑が科されると執行猶予が付いたとしても退去強制事由に該当します。

 したがって、後者の場合は、示談による不起訴を目指すなど、懲役刑を科されないことを目標とする弁護活動が必要になります。なお、薬物犯罪など、前者の資格を有していても有罪の判決を受ければただちに退去強制事由に該当する犯罪類型もあります。このように、退去強制事由を把握したうえで弁護活動に臨むことが大切になります。

 ②の在留特別許可につきましては、あくまで「特別」の許可ということで、明確な基準はありませんが、法務省のホームページにて許可・不許可事例が公表されていることが参考になります。公表されている事例を見る限り、刑罰法規違反があったケースにおいて、在留特別許可を得ることは極めて難しいといわざるを得ませんが、完全に否定されているわけではありません。

 刑事事件において身柄拘束されている場合においても、在留資格更新手続きは行う必要があります。更新手続きを行わない場合、刑事事件の処分内容が退去強制事由に該当しないときも、オーバーステイにより退去強制手続が開始することがあります。私も、身柄拘束中の方の代理人として、入国管理局にて在留資格更新手続きを行ったことがありますが、そのときは無事更新が完了しました。

 なお、入国管理局にて手続きが行えるのは入国管理局発行の届出済証明書を有する弁護士に限られることに注意が必要です。

 外国人の刑事事件においては、上記のとおり、日本人の刑事事件以上に、早期に対処する必要のある問題が生じます。当事務所は、県内9カ所(名古屋丸の内、名古屋新瑞橋、名古屋藤が丘、小牧、津島、春日井、高蔵寺、日進赤池、岡崎)及び岐阜大垣に事務所があり、早期の面談相談を行いやすい体勢を整えております。何かありましたら是非お気軽にご相談頂ければと思います。

高蔵寺事務所 弁護士 服部 文哉

 警察官や検察官は、取調べの最後に、被疑者・被告人がその日の取調べで話した内容をまとめた紙を作成することが多いです。この紙のことを、「調書」といいます。
 警察官や検察官は、被疑者・被告人に対し、調書の内容を確認した上で、調書の最後に名前を書いて指で印を押す(署名押印)よう求めます。

 では、調書に署名押印をすると、どうなるのでしょうか。
 署名押印された調書は、裁判上不利な証拠となる可能性があります。客観的な証拠が足りておらず、本来であれば嫌疑不十分として不起訴になる可能性があるケースでも、自白調書に署名押印しまったことで、起訴されてしまうこともあるのです。

 そして、いったん調書に署名押印してしまうと、裁判になって、あれは間違いでしたと話しても、認めてもらえない可能性が非常に高いです。それは、署名押印前には必ずその内容を読んで、間違いないかを確認していること、調書に自分が話していない不利な内容が書かれていれば、通常は署名押印前に抗議するはずだと考えられるからです。

 被疑者・被告人の権利として、調書に残したくない場合には、署名押印を拒否することができます(署名押印拒否権)。また、調書の内容に間違いがあって、修正してほしい場合には、署名押印前に内容の修正を求めることもできます(増減変更申立権)。それでももし修正してくれない場合には、署名押印自体を拒否することにより対応しましょう。

  なお、署名押印を拒否したり、修正を申し立てたことで不利に扱われることはありません。
 できる限り早めに、弁護人と今後の防御方針や取調べへの対応方法について話し合うことで、意図せず不利な調書をとられてしまうリスクを回避できる可能性があります。
 もし、ご自身や身近な方が嫌疑をかけられた場合には、一度弁護士にご相談下さい。

春日井事務所 弁護士 友近 歩美

 刑事裁判のドラマを見ていると、依頼者の無実を証明するために、裁判で華々しく活躍する弁護士の姿が描かれていることが多いと思います。
 もちろん、裁判で事実と異なる検察官の立証を弾劾し、被告人にとって有利な事実をきちんと裁判官に分かってもらう、法廷での被告人の弁護人としての活動は、弁護士の主要な役割の一つです。

 しかし、刑事事件における弁護士の役割はそれだけではありません。
 刑事事件における弁護士の役割としては、実は、裁判所での活動と同じか、むしろそれ以上に裁判所外での被告人の弁護人としての役割が重要です。

 刑事事件においては、犯罪の嫌疑を掛けられた人は、しばしば逮捕・勾留という手続によって身体を拘束されます。
 そればかりか、犯罪の嫌疑を掛けられた人は、接見禁止決定という手続が行われて、弁護士以外の人と会うことも、手紙の遣り取りをすることもできなくされてしまう、ということもあります。
 そのようなとき、弁護士は、被告人にとって、社会との唯一の接点の役割を果たします。

 取り調べは、しばしば非常に過酷です。
 取り調べを受けた被疑者が、事実と異なることを言ってしまったり、それを記録化されてしまって、やってもいない犯罪の証拠ができあがってしまうということも、起こっていることです。
 えん罪です。
 弁護士がなるべく頻繁に被疑者に会いに行き、被疑者と十分に打合せをしたり、被疑者を励ましたりすることで、事実と異なることを言ってしまったり、それを記録化されてしまうことを防ぎ、ひいては,えん罪を防ぐことができます。
 
 忘れてはいけないのは、被害者との示談交渉です。
 被害者のある犯罪においては、被害者との間で示談が成立しているかどうかが、正式な刑事裁判に掛けられるかどうかの結論に大きく影響します。
 そして、多くの場合、被害者との示談交渉を取りまとめることができるのは、弁護士だけなのです。

名古屋丸の内本部事務所 弁護士 檀浦 康仁