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 警察に逮捕・勾留された場合、弁護士が身体の拘束を受けている被疑者の方と接見することが何よりも重要となります。  
​逮捕・勾留されている被疑者は、過度の不安や恐怖などの精神的混乱の状態に陥っていることがあります。弁護士と接見することで、自身の置かれている状況、今後の見通しなどにつき弁護士から説明を受けることが重要となります。
​  特に、接見等禁止決定が出されている場合には、家族と接見(面会)ができなかったり、被疑者に手紙を送ることもできないことがあります。被疑者は、外部との連絡手段を絶たれてしまう状態となるため、弁護士との接見がより重要となってきます(弁護人は接見等禁止決定が出されている場合であっても接見が可能です。)。
​  被疑者本人だけでなく、配偶者(妻・夫)、直系の親族(両親など)、兄弟姉妹も被疑者の弁護人を選任することができます。大切なご家族が、突然、警察に逮捕・勾留された場合には、早期に弁護士に接見の依頼をし、逮捕・勾留された方の状況を確認することが重要となります。
​  弊所は、名古屋市内(名古屋丸の内、名古屋新瑞橋、名古屋藤が丘)、愛知県内(小牧、春日井、高蔵寺、津島、日進赤池、岡崎)、岐阜大垣、伊勢駅前、津、浜松、東京自由が丘に事務所があります。最寄りの警察署等の留置施設で、速やかに弁護士が接見を行うことが可能な体制を整えています。
​  大切なご家族が逮捕・勾留されてしまった場合には、弊所の相談窓口(電話:052-212-5275)までご連絡いただき、相談の予約を取っていただければと思います。

名古屋丸の内本部事務所弁護士 木村 環樹

 先日、名古屋地方裁判所で、金融機関勤務の女性が金員を着服したとして、業務上横領罪に問われた事件の判決がありました。
​  業務上横領、というのは、典型的なケースで言えば、仕事で管理を任されている会社のお金等を、経理担当者などが着服してしまうようなものです。
​  数十万円程度の比較的少額な事件もありますが、なかには数年間にわたって数億円(ときにはそれ以上)といった巨額の横領が行われてきたことが発覚して、新聞やインターネット上のニュースになることもあるので、罪名を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
​  と同時に、「そんなに沢山のお金を横領して、何で長年ばれなかったのだろう」と不思議に感じる方もいると思います。
​  業務上横領で、高額の被害額となるケースには様々な要因があると思いますが、しばしば見られるのが、経理の業務が特定の方に集中しており、その人物が不正を働いても事実上チェックがきかない体制になっており、結果的に長年不正が見過ごされてしまう、という事案です。
​  やっている側も、最初はごく少額であったものが、会社に発覚しないことで、次第に感覚が麻痺して、高額のお金の横領を常習的に行うようになってしまった、というものが多いようです。
​  会社による横領の発見が比較的早期で、被害もそれほど多額で無ければ、当該従業員に被害弁償をさせて被害の回復を図ることができることもありますが、長年見過ごしてしまった場合には多額の損害が発生し、回収不能になってしまうことも多いようです。
​  複数の人間による二重三重のチェックを行う、金銭の管理をする人間を定期的に入れ替えるなど、様々な対策が考えられるようですが、完全に防ぐことは難しいようです。
​  こうした業務上横領罪については、横領してしまった側や被害企業側に弁護士が付いて、示談契約書の作成等、被害弁償の話をまとめることができれば、横領をしてしまった側は重い刑事罰を避ける、被害企業側は損害の回復を図ることが出来るなどのメリットがあります。
​  業務上横領に限ったことではありませんが、被害に遭った愛知県の企業の皆様、あるいは犯罪が発覚してしまった方は、一度弁護士にご相談頂ければと思います。

名古屋丸の内本部事務所弁護士 勝又 敬介

あなたやあなたのご家族が犯罪の被害者になった場合,何を考えるでしょうか。おそらくは「真犯人を罰して欲しい」と思うでしょう(稀に例外もありますが)。それと同時に「被害に遭った以上これによって生じた損害も賠償して欲しい」とも思うはずです。
 

そして,多くの方が誤解しているところでもありますが,刑事裁判によって真犯人が裁かれたとしても,これによって,被害者の真犯人に対する損害賠償請求についても認められたわけではありません。原則として,上記の刑事手続とは別に,真犯人に対して民事訴訟によって,損害賠償請求を行っていく必要があります。
(=交通事故の加害者が業務上過失致傷罪で裁かれることと被害者の加害者に対する損害賠償請求が認められることは別物だということです)
 

ただ,例外的に,特定の重大な犯罪に関しては,民事的(金銭的)にも速やかに被害者を救済すべきであることから,刑事裁判に付随して民事訴訟についても審理してしまおうという制度があります。

これが,タイトルにもある「損害賠償命令制度」(犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律第23条)というものです。

同制度が適用された場合,一般的に,刑事裁判が終わった1時間後くらいに同じ法廷で,こっそりと審理が行われることが多く,また,認め事件(犯人が自身が犯人であることを認めている事件)においては,審理自体も1回で終結することも少なくありません。したがって,原則である民事訴訟のルートでいけば1年や2年もかかり得る請求が,同制度を利用すれば1日で認められてしまう可能性もあり得るということです。

ただ,同制度はあまり認知されていない上,申立てのタイミングも刑事裁判が終わるまで(正確には異なりますが)に限られています。したがって,弁護士を使用しないで同制度を利用することは正直かなり難しいのではないかと思われます。
 

万が一,将来において犯罪被害に遭われてしまった時には,「そういえば,こんな制度があるらしいなあ」と思い出していただき,当事務所まで相談いただければと思います。

岐阜大垣事務所弁護士 石井 健一郎

刑事裁判の判決で「被告人を懲役1年6月に処する。この裁判確定の日から3年間その刑の執行を猶予する。」と言い渡されることがあります。これが、いわゆる執行猶予付きの判決です。

執行猶予の判決が言い渡されると、刑の執行が猶予されます。懲役刑の場合には、執行猶予によって刑務所に収容されないこととなります。そして、執行猶予が取り消されずに猶予期間が満了すると刑の言い渡しは効力を失うとされています。これが一般的な執行猶予の制度です。

これに対し、刑の一部執行猶予という制度が平成28年から始まりました。

一部執行猶予の場合には、判決で「被告人を懲役3年に処する。その刑の一部である懲役6月の執行を2年間猶予し、その猶予の期間中被告人を保護観察に付する。」等と言い渡されます。

上記判決の場合、一部執行猶予を言い渡された被告人は、刑が確定するとまず2年6か月懲役刑に服した上、2年間保護観察に付され、保護観察所で更生のためのプログラムを受けるなどしていくことになります。そして、2年間の猶予期間が満了すれば6か月分の刑については執行されないこととなります。

この制度は、実刑が相当である被告人に対し、その更生や再犯防止等の観点から、刑の一部の執行を猶予した上、刑務所からの出所後、さらに保護観察に付すことで社会内での更生を図っていくために設けられた制度です。

一部執行猶予の制度を被告人自身の立場でみると、全て実刑の判決を言い渡された場合よりも早く社会に復帰できるというメリットがある反面、保護観察に付されることにより保護観察所の監督等を出所後も相当期間受けることになります。

 そのため、弁護士としては、法律上の一部執行猶予の要件を満たしている事案の場合でも制度の趣旨を踏まえ、被告人の意思を確認した上で、一部執行猶予の判決を求めていくか否か方針を立てていくことになります。

 私自身、薬物犯罪の案件で、被告人本人が更生のために出所後も保護観察所の監督を積極的に希望した事案において、一部執行猶予の判決を求め、これが認められた経験がありますが、被告人自身に更生の意欲があり、また保護観察所の監督が続くことについて前向きに考えているような場合には、積極的に一部執行猶予の判決を求めていくことになるでしょう。

 刑事事件でお困りの方は、どうぞお気軽に弊所までご相談ください。

伊勢駅前事務所 弁護士 居石 孝男

 交通事故を起こした場合には,①刑事上の責任(懲役,禁固,罰金等),②行政上の責任(点数制度),③民事上の責任(相手方に対する損害賠償),の責任が問われるということは,皆さん教習所でも話を聞いたことがあるのではないでしょうか。今回は,比較的軽微な交通違反における,①について説明します。

 道路交通法違反罪のうち,比較的軽微なもの(一時停止違反や信号無視等)については,本来であれば,刑事手続を経たうえで罰金等の刑事罰が科されるはずです。しかしながら,軽微な交通違反者のすべてに対してこうした刑事手続を行うことは現実的に難しく,法の目的にも適わないということで,交通反則制度が導入されました。

 比較的軽微な交通違反を行った人に対しては,その違反を現認した警察官等が,いわゆる青切符を渡して反則金の納付を求めます。これを受け取り,記載された期間(受領の翌日から数えて7日以内)に反則金の納付(※1)をした場合には,刑事手続に移行することなく終了します。

 上記期間内に納付をしなかった場合には,①青切符記載の出頭期日に通告センターに出頭して新たに納付書を受け取って納付をするか,②出頭せず郵送されてきた納付書を受け取って納付をすることにより,同様に刑事手続に移行することなく終了します。

 では,青切符を渡されたが,実際にそのような違反を行っていないことを刑事手続で争いたい場合にはどうすればよいのでしょうか。

 この場合には,上記の納付を行わなければよい,ということになります。反則金の納付はあくまで任意であり,刑事裁判を受ける権利が保障されている以上,交通違反をされたとされる事実を刑事手続で争いたい場合には,納付を行わず刑事手続に移行させ,そこで争うことができます。

 もっとも,争う上では,注意すべき点もあります。反則金を納付した場合には刑事手続に移行せず,したがって前科は付かないことになりますが,刑事手続に移行させて争ったが,仮に起訴されて有罪との認定がされた場合には,前科が付いてしまうことになります。争うのかどうかについては,証拠や負担を考慮して慎重に検討する必要があります。

 上記は交通事故が発生していない,軽微な交通違反についての話でしたが,そのほかにも交通事故と刑事事件がかかわるものは多くあります。お悩みの方は,どうぞお気軽にご相談ください。※1正確には「納付」ではなく「仮納付」です。

名古屋丸の内本部事務所 弁護士 松山 光樹

 犯罪の嫌疑をかけられ,逮捕・勾留された方及びそのご家族の最大の関心事が,身体拘束がいつまで続くのかという点だと思います。そこで,起訴・不起訴が決まるまでの身体拘束からの解放に向けた弁護活動についてご紹介したいと思います。

 

 起訴・不起訴が決まるまでの一般的な流れとしては,逮捕されてから72時間(3日)以内に,検察官が勾留請求するかを決め,勾留請求を決めた場合には検察官が裁判官に対し勾留請求を行い,裁判官が勾留請求を認めると勾留決定が出されます。この際の勾留期間は勾留請求の日より10日間とされることが通常です。

 もっとも,検察官は捜査のため,さらに10日間の勾留延長請求をすることが可能であり,裁判所が検察官の勾留延長請求を認めると,さらに勾留期間が10日間延長されることがあります。

 以上の流れを簡略化しますと,①逮捕⇒②検察官の勾留請求(3日以内)⇒➂裁判官の勾留決定(勾留請求の日より10日間)⇒④検察官の勾留延長請求⇒⑤裁判官の勾留延長決定(勾留期間の最大10日間の延長)⇒⑥検察官の終局処分(起訴・不起訴)という流れになります。

 

 弁護士の関わり方として,まず検察官に対し勾留請求しないよう申し入れる(②),検察官から勾留請求がなされた場合には,裁判官に対し勾留決定しないよう申し入れるといった活動を行うことがあります(③)。

 裁判官より勾留決定が出された場合には,勾留決定に対する準抗告(裁判官の勾留決定に対して異議を申し立てる手続)や勾留取消請求等を行うことが可能です(③)。

 準抗告等が認められない場合には,検察官に対し勾留延長請求しないよう申し入れる(④),検察官が勾留延長請求をした場合には,裁判官に対し勾留延長決定しないよう申し入れるといった活動を行うことがあります(⑤)。

 勾留決定と同様に,裁判所より勾留延長決定が出された場合には,勾留延長決定に対する準抗告(裁判官が出した勾留延長決定に対して異議を申し立てる手続)や勾留取消請求等を行うことが可能です(⑤)。

 勾留延長決定が出された場合でも,最終的に不起訴となれば釈放されますので,検察官に対して起訴しないように働きかけるといった活動を行います(⑥)。

 

 このように,身体拘束手続の各段階において,弁護士は身体拘束の解放に向けた活動を行っております。現在,愛知県弁護士会においても被疑者の不必要な身体拘束の解放を目指し,積極的に上記の弁護活動を行う運動がなされているところです。

 働いている方や学校に通っている方にとっては,身体拘束の期間が長引けば長引くほど,甚大な不利益を及ぼしてしまいますので,ご家族の方などが身体拘束を受けた場合には 早めに弁護士に相談されることをお勧めいたします。

 弊所では,休日相談も行っており,土日に身体拘束が判明した場合でも迅速に対応することが可能ですので,どうぞお気軽にご相談ください。

 

名古屋丸の内本部事務所 弁護士 黒岩 将史

  ある日突然、警察から電話がかかってきて任意出頭するようにと言われたら、あなたはどうしますか。心当たりがあってもなくても、動揺してしまうことと思います。


 刑事訴訟法第1981項但書きには、取調べについて、「被疑者は、逮捕又は勾留されている場合を除いては、出頭を拒み、又は出頭後、何時でも退去することができる。」と規定されています。

 この規定によれば、法律上任意出頭に応じる義務はないことになりますから、行かないという選択肢をとることもできますし、行ったとしても途中で帰ることもできるということになります。

 しかし、それはあくまで法律上はそうなっているというお話です。被疑者が任意出頭を拒み続けていると、罪証隠滅のおそれや逃亡のおそれがあると判断され、逮捕状が請求されてしまうということもあり得るのです。

 取調べに応じてしまって虚偽の自白がとられてしまうことは何としてでも避ける必要がありますが、場合によっては任意出頭に素直に応じた方が良いこともあります。

 このように、任意出頭に応じるべきか否かについては大変慎重な判断を要しますので、一度専門家である弁護士に相談されることをおすすめします。

 また、取調べの際に作成される供述調書の内容を後から覆すのは難しいケースも多くありますので、取調べに応じるとしても、何も知らないまま行くのではなく、弁護士から適切なアドバイスを受けてから行くことが非常に重要です。



 刑事事件については特に早めの対処が必要です。少しでもご不安なことがあれば、どんなことでもご相談ください。

名古屋丸の内本部事務所 西村 綾菜</a>

 今回は,被疑者として取調べを受ける場合の対応についてお話ししたいと思います。

 貴方,もしくは貴方の大切な人(ここでは,貴方の場合を考えてみましょう。)が逮捕(送検)されてしまった場合,被疑者という立場で警察官または検察官の取調べを受けることになります。

 このとき,被疑者に認められている権利がいくつかあります。これは知っておいて損はないので,ぜひ心の片隅に置いておいていただければと思います。

 

 まず,何よりも,①被疑者には黙秘権が憲法上保障されています。黙秘権とは,言いたくないことについて喋らなくてもよいというものです。例えば,貴方が逮捕された原因である事実(被疑事実と言います。)が本当のことでない場合は特に,黙秘権行使が有効な手段になりえます。

 というのも,捜査官は貴方の話をもとに調書というものを作成します。この調書は,今後捜査,あるいは裁判と手続が進んでいったときに,犯罪を立証するための証拠になるものです。

 つまり,貴方が、捜査官に対して話したことはすべて,調書に書かれることにより証拠となり得るのです。やっていないなら,正直にやっていないと言った方がいいのではないかと思われるかもしれません。

 しかし,例えば,貴方が当時内心で考えていたことが、犯罪が成立するかどうかにおいて 大きなポイントになっているような場合,捜査官もプロですので,「こういうことならわかっていたんじゃないか。」というような形で誘導し,認めさせることも場合によってはあり得ます。

 そのため,いっそのことすべて黙ってしまうのが,取調べに対しては有効な手段になり得るのです。

 他に認められている権利としては,②作成された調書について内容を確認し,間違っている部分等あれば修正してもらうことができます。また,調書は最終的に被疑者の署名・指印がないと証拠にはならないのですが,③署名・指印に応じないこともできます。

 先ほどお話ししたように,調書は重要な証拠になりますので,署名・指印をするかどうかは慎重に判断する必要があるといえます。

 

 以上,貴方が取調べを受ける場合に認められている権利についてお話ししましたが,具体的にどのように取調べに対応するかは,個別の事案で異なってきます。

 弊所にご相談いただければ,具体的事案等を見て,より具体的なアドバイスが可能となります。刑事でお困りのことがございましたら,ぜひ一度ご相談いただければと思います。

名古屋丸の内本部事務所 中村 展(なかむらひらく)

1 令和2年6月2日,あおり運転による妨害運転を直接に厳しく取り締まる道路交通法の改正が成立しました。改正道路交通法は,令和2年6月10日に公布され,6月30日から施行されます。

  この改正によって,他の車両等の通行を妨害する目的で,実際に,交通の危険を生じさせるおそれのある方法によって,次の10項目のいずれかの違反行為をした者について,酒気帯び運転に匹敵する,3年以下の懲役又は50万円以下の罰金という刑罰が科されることとなりました(改正道路交通法117条の2の2第11号)。

  さらに,これらの行為を行った結果,高速道路等で他の自動車を停止させる等,道路における著しい交通の危険を生じさせた者については,酒酔い運転に匹敵する,5年以下の懲役又は100万円以下の罰金という刑罰が科されることとなりました(改正道路交通法117条の2第6号)。
 
  ① 通行区分(左側通行)違反(道路交通法17条違反)
  ② 急ブレーキをかける行為(道路交通法24条違反)
  ③ 車間距離を詰める行為(道路交通法26条違反)
  ④ 急な進路変更(割込み)(道路交通法26条の2違反)
  ⑤ 乱暴な追越しや左からの危険な追越し等(道路交通法28条違反)
  ⑥ ハイビームやパッシングによる威嚇等(道路交通法52条違反)
  ⑦ 不必要なクラクション等(道路交通法54条違反)
  ⑧ 幅寄せや蛇行運転等の行為(道路交通法70条違反)
  ⑨ 高速道路での最低速度違反(道路交通法75条の4違反)
  ⑩ 高速道路での駐停車禁止違反(道路交通法75条の8違反)

2 これらの10の行為は,概ねわざとするのでないと行うことがないようなものですが,1つあいまいなものが含まれています。③の「車間距離を詰める」行為がそれです。
  道路交通法26条は,「その直前の車両等が急に停止したときにおいてもこれに追突するのを避けることができるため必要な距離を」「保たなければならない」としています。
  ただ,「追突するのを避けることができるため必要な距離」は,道路の構造及び状況,天候,前の車の速度,自らの速度,自らの健康状況といったさまざまな状況によって,ブレーキを踏んだときの制動距離に差が出るため,変わります。そのため,運転者が,あおり運転を行っているつもりがなくても,「車間距離を詰める」行為として摘発されてしまうおそれがあります。
      そのような場合,もし,刑事事件として立件されてしまうと,客観的に,「追突するのを避けることができるため必要な距離」を空けていたかどうか,運転者が主観的に,どの程度の距離が「追突するのを避けることができるため必要な距離」と考えていたか等によって,「他の車両等の通行を妨害する目的」があったかどうか,をシビアに争うことになると思われます。

3 なお,令和2年6月5日,あおり運転によって交通に重大な危険を生じさせて,死傷事故を誘発する行為を厳重に処罰する,自動車運転処罰法の改正も成立しました。
  改正自動車運転処罰法は,令和2年6月12日に公布され,令和2年7月2日から施行されます。
  この改正の結果,交通の危険が生じる危険のある速度で走行している他車の前で停止したり,高速道路などで急接近して徐行・停止させる行為をしたりすることによって,死傷事故に結びついた場合は,危険運転として,処罰されることとなります。
  被害者を死亡させてしまった場合の刑罰は,1年以上の有期懲役,傷害させてしまった場合の刑罰は,15年以下の有期懲役です。

4 いったん交通事故を起こしてしまうと,懲役や罰金など,刑罰を受ける刑事上の責任のみならず,免許の取り消しなどの処分を受ける行政上の責任,被害者に対する賠償責任を負う民事上の責任が生じます。
  当事務所では,民事事件について,たくさんの交通加害者の交通事故事件,特に,事故発生の責任の有無及び程度を争う事件を扱っており,ノウハウを蓄積しています。
  これらの交通事故加害者の民事事件で蓄積してきたノウハウは,交通刑事刑事事件でも大いに活きています。
      交通に関する刑事事件でお困りのことがありましたら,是非,当事務所の弁護士にご相談ください。

名古屋丸の内本部事務所 檀浦 康仁

 今回は黙秘権侵害の取調べについてお話したいと思います。
 ここでは,①前提として黙秘権についてご説明し,②現在も黙秘権侵害の取調べがなされていると疑わざるを得ない状況が多々見受けられること,③その場合には,公安委員会や検察庁に対し苦情を申し入れることが有効であることをお伝えします。


1 黙秘権とは

 黙秘権とは,「被疑者があらゆる供述を拒むことができる権利」です。
 これまで,自白をとるために警察官が,嘘をついて利益を誘導したり,脅迫をしたりするなどして,冤罪が生み出されてしまいました。このような歴史的経緯を踏まえて,被疑者には,憲法上,刑事訴訟法上も黙秘権が保障されるようになりました。


2 現在も黙秘権侵害の取調べがなされていると疑わざるを得ない

 しかしながら,黙秘権が重要な権利であるにもかかわらず,現在も黙秘権を侵害する取調べがなされていると疑わざるを得ないと思われるケースに出会うことが多々あります。
 私たちが依頼者の方々から伺ったのは,取調べ警察官から次のような言葉をかけられたと伺いました。
 
 「黙秘していると長くなるぞ」
 「黙秘を続けていたら不利な結果になるよ」
 「●●君が喋らないと,我々は認めているとしか扱えなくなる」
 「しゃべらないんだったら,首を振るなりしてください。それもしないんだったら,肯定したとみなすよ」
 「黙秘をするなんて卑怯者だ」

 これらの警察官の発言は,黙秘権の行使が自由であり,その行使が有利にも不利にも働くことはないはずであるのに,黙秘をすることがあたかも不利であるかのように発言する点で,黙秘権を侵害する重大な違法行為です。
 現に,滋賀県警において,警察官が自白を誘導し,いわゆる調書の「作文」がなされていたことが発覚し,大津地裁にて無罪判決が下されたことは記憶に新しいところです。

 これらの事実からするといまだに警察官は黙秘権を侵害するような取調べを行っていると考えざるを得ません。


3 公安委員会や検察庁に対し苦情を申し入れることが有効であること

 ただでさえ身柄が拘束されていて,かつ密室で取調べがなされていると,精神的にも身体的にも追い詰められてしまい,「本当はやっていないけど,認めた方がいいのではないか」と考えてしまっても当然です。
 そこで,弁護人として,公安委員会や検察庁に対し苦情を申し入れることが有効です。捜査機関は,適切に取調べを行う必要があり,苦情が申し入れられた場合には,公安委員会や,監督官は,調査を行うことが義務付けられています。警察官は調査に応じる負担を課されますし,実際に密室での取調べでの発言が監視されていることが分かることで,取調べ担当の警察官は相当に委縮します。
 仮に警察官が自分の違法な行為を認めなかったとしても取調べの手が緩んだり,苦情申立ての結果,調書の内容が信用できないということになったりし,起訴に至らず,無罪を勝ち取るケースがあります。
 弊所でも複数の事件で,苦情を申し立てたことが効を奏したのか,不起訴に至った実績があります。

 現在,身近な人が逮捕されてしまっていて,取調べに耐えられるのか不安だなどお悩みの方はぜひ弊所までお気軽にご相談ください。

名古屋丸の内本部事務所 弁護士 岩田 雅男