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刑事事件ブログ

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今般、各界での傷害事件をはじめとして、傷害事件が報道される機会が多くなっていると感じております。今回は、傷害事件における「傷害」について、ご説明をさせて頂きたいと思います。

 

さて、傷害罪は「人の身体を傷害したものは、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」(刑法204条)と規定されており、「人の身体を傷害した」場合に成立する犯罪です。殴って怪我をさせるなど、暴行により、怪我をさせた場合が典型的です。

 

しかし、暴行によらない場合であっても、傷害罪が成立する場合があります。

 

隣人トラブルにて、連日連夜、ラジオの音声やアラーム音を大音量で鳴らし続けた事件において、裁判所は、「傷害罪の実行行為は、人の生理的機能を害する現実的可能性があると社会通念上評価される行為であって、そのような生理的機能を害する手段については限定がなく、物理的有形力の行使のみならず無形的方法によることも含むと解される」(奈良地判平成16年4月9日)としており、最高裁判所も、当該判断を是認しております。

 上記を読んでも、よくわからないと思いますので、説明をさせて頂きます。

 要するに、裁判所は、傷害罪は人の生理的機能を害する危険性があると評価できるものであればよく(生理的機能を害するとは、大まかにいうと、怪我をさせたり病気にさせることです。)、必ずしも、直接殴ったり切りつけたりする必要はないということです。

 上記事件では、ラジオの音声やアラーム音を大音量で鳴らされ続けたことにより、被害者が、慢性頭痛症、睡眠障害、耳鳴り症に罹患してしまったために、傷害罪に該当すると認定されています。

 

 上記のように、刑法犯は、意外と、私達が想像していない形で成立することもあります。

自分や身近な人が傷害罪の嫌疑をかけられていたり、身柄拘束をされてしまったりした際には、速やかに、弁護士に相談をすることをおすすめいたします。

岐阜大垣事務所 弁護士 佐藤 康平

刑事事件の相談を受ける際,前科・前歴がついてしまうとどうなるのかという質問を受けることがあります。そこで,前科・前歴についてご説明いたします。 

​​まず,前科は,刑事裁判で有罪判決を受けたときにつきます。 懲役刑になり刑務所に入った場合はもちろんですが,執行猶予がついた場合でも前科になります。また,罰金刑であっても有罪判決であることには変わりありませんので,前科になります。 

​​次に,前歴は,捜査機関(警察)に犯罪を疑われて逮捕されたとき場合,裁判にならなくともつきます。逮捕されて裁判にならない場合の多くは,不起訴処分になる場合です。犯罪をしたと立証できず不起訴処分になった場合でも,前歴は残ってしまいます。 

​​前科・前歴がついたとしても,報道された場合を除き,自分から言わなければ,日常生活で他人に知られることはまずありません。戸籍にのってしまうのではないかという質問を受けることは多いですが,そのようなことはありません。 

​​しかしながら,資格によっては,前科がつくと欠格事由となるものがあります。公務員や弁護士等です。また,一般の会社員でも,懲戒事由として前科等が定められていることがあります。 また,海外旅行に行く際,特定の国では事前にビザを発行しなければならなくなることもあります。 

​​このように,前科・前歴がついたとしても,直ちに日常生活に影響が出るとは限りませんが,資格制限等困ることもあります。前科・前歴はつかないに越したことはありません。 前科・前歴がつくことを防ぐためには,できるだけ早い段階で対応することが重要です。まずは,弁護士に相談することをおすすめいたします。

 最近は、厳密な本人確認はあるものの、スマホアプリを通じても口座を作成できる金融機関も登場し、利用者の利便性はますます高まっています。しかし、他人に利用させるために口座を開設したり、開設した口座を他人に譲り渡すといったことは、決してやってはいけません。 まず、現在では、どの金融機関も、預金規定により他人による口座の利用や、口座の譲渡は禁止しているのが通常です。にも関わらず、口座を他人に利用させたり譲渡したりする意図を隠して口座を開設することは、金融機関を騙して口座を開設したことになり、詐欺罪に該当すると評価されるおそれがあります。銀行口座なんてタダで作れるものだし、残高0なんだから、人に譲ったって詐欺にはならないだろう、などと即断することは危険です。銀行の通帳は、銀行と取引できる資格を示す重要なものであり、これをだまし取ることは、他人から財産的価値のあるものを不法に領得する行為ということができます。 また、犯罪収益移転防止法28条2項は、相手方に、他人になりすまして金融機関との間における預貯金契約にかかる役務の提供を受けたり、他人にその提供を受けさせる意図があることを知りながら、その者に預貯金通帳等を譲り渡した者につき、1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金を科すことを定めています。 最近、ヤミ金融業者などが、他人が作成した預金口座を利用して違法な取り立てを行ったり、架空請求を送り付け金融機関の預金口座に振り込みを請求するなど、組織的な犯罪において、譲り受けた口座が使用される例が相次いでいます。 このような事態に対処するため、犯罪収益移転防止法が度々改正され、本人確認の厳格化などの措置が取られています。社会的にも口座の譲り渡しには厳しい目が向けられており、最悪の場合銀行口座の凍結など、重大な結果をもたらすこともあります。 買い取りを行う側も、様々な手段を講じてきます。口座を買い取るのではなくて、リースを受けるだけだから違法ではないとか、警察に発覚しても、通帳を落として誰かに使われただけだといえば問題はないとか、自分たちに都合の良い説明をしてくる場合があります。また、違法な高金利でお金を貸付し、返済できなくなると銀行で口座を作って引き渡すように命令してくることもあります。 高金利でお金を借りてしまって生活に困っている方や、家族や勤務先への過剰な請求など、違法な取り立てに悩んでいる方は、一度弁護士にご相談になることをおすすめします。また、口座の売買で警察の捜査の対象になってしまった場合にも、早急に弁護士に相談するべきです。 

高蔵寺事務所弁護士 服部 文哉

 平成29年7月13日施行された改正刑法についての刑事弁護ブログ第3回目です。

 

  今回は、早期に示談することの重要性を示す事例を紹介したいと思います。

 

 皆様は、刑事事件が起きたとき、事件の終了の仕方についてどのようなものがあるかご存知でしょうか。まずは裁判による判決です。これは無罪判決、有罪判決、有罪判決の中でも実刑判決、執行猶予判決、罰金刑の判決等があります。

 しかし、犯罪を犯してしまったときに、すべての人が判決を受けるまでは事件が終了しないというものではありません。

 ここで、判決という事件の終了以外に、不起訴処分というものがあります。これは、捜査の終結段階で,当該被疑者につき検察官が公訴を提起しないことにする処分を言います。検察官が不起訴処分をすれば、裁判が開かれずに事件は終了します。何らかの犯罪を犯したとしても、裁判所に行って裁判を受ける必要がなくなります。

 一般的に不起訴処分が下されるまでには、検察官に事件送致がなされてから(司法警察員(警察の方のことです)が、捜査した事件の資料を検察官に送り、検察官の終局処分を求めること)、身柄が拘束されている場合であれば、拘束されてから10日から20日前後であり、身柄が拘束されていない在宅事件であれば数ヶ月程度かかります。

 

 実は、刑事事件にはこの他にも事件の終了の仕方があるのです。それは、司法警察員が、検察官に事件送致を行わないことです。

 これは、裁判や不起訴処分よりも早い期間で事件が終了するものです。この場合には、裁判所だけでなく、検察庁で検察官の取り調べ等を受ける必要もありません。

 

 実際の事例をお話しますと、強制わいせつにあたる行為をしてしまい、警察から取り調べを受けていたAさんが弊所に相談に来られました。

 Aさんが相談にこられた日に弊所弁護士が依頼を受け、その日のうちに被害者の方へ弊所の弁護士から連絡をし、次の日には示談が成立して、被害届けを取り下げてもらいました。

 この結果、警察は捜査を打ち切り、検察官へ事件送致をしないこととして、Aさんの事件は終了しました。

 Aさんが、弊所に相談にいらっしゃった翌日には、事件が終了して、事件を解決することになったのです。

 

 刑事事件は、自らが行った行為が原因とはいえ、心身ともに疲弊するものであります。このため、できる限り早く事件を終了させることも弁護士の職務の重要なことの1つであるといえます。

 弊所は、スピードを事務所理念として常に意識しながら職務にあたっております。また、弊所は31名の弁護士が所属しており(平成29年8月末現在)、弁護士数の多さを活かして急な事件の対応も可能になっております。

 

 もし警察に急に呼び出されたり、何らかの犯罪を犯してしまって、今後の成り行きがどうなるか不安な方がいらっしゃいましたら、一度弊所にご相談ください。

 

名古屋丸の内本部事務所 弁護士 安井 孝侑記 

 平成29年7月13日施行された改正刑法についての刑事弁護ブログ第2回目です。

 

 今回は、性犯罪の非親告罪化についてです。

 改正前の刑法には、このような条文がありました。

 

第180条  第176条から第178条までの罪(筆者注:強制わいせつ罪、強姦罪、準強制わいせつ罪及び準強姦罪)及びこれらの罪の未遂罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

2項  前項の規定は、二人以上の者が現場において共同して犯した第176条若しくは第178条第1項の罪又はこれらの罪の未遂罪については、適用しない。

 

 以上の規定により、被害者が告訴しなければ、強制わいせつ罪、強姦罪、準強制わいせつ罪及び準強姦罪については起訴されることがなかったのです。そこで、これらの罪が問題となっている場合には、被害者と示談し、告訴を取り消してもらうことができれば、起訴されることはなく、前科がつくことはありませんでした。

 しかし、今回の刑法改正により、この規定は削除されています。

 また、改正刑法の附則において、

 

第2条2項 この法律による改正前の刑法180条の規定により告訴がなければ公訴を提起することができないとされていた罪であって、この法律の施行前に犯したものについては、この法律の施行の際既に法律上告訴がされることがなくなっているものを除き、この法律の施行後は、告訴がなくても公訴を提起することができる。

 

 という規定が置かれています。これにより、一度告訴されたがその告訴が取り消されたなどの理由により法律上告訴できなくなっている場合を除き、平成29年7月13日改正刑法の施行前に行った性犯罪についても、告訴がなくても起訴されるようになっています。

 

 しかし、この改正があっても、被害者と示談することが無意味になったというわけではありません。

 

 次回は、早期の示談が良い結果に繋がった事案を例に、示談の重要性を解説したいと思います。

 

名古屋丸の内本部事務所 弁護士 安井 孝侑記

 ニュースなどでも大きく取り上げられていますが、平成29年7月13日、性犯罪について大きく変更した改正刑法が施行されました。

 性犯罪については、平成16年の刑法改正による罰則の強化、集団強姦等罪に関する規定の新設等はありましたが、抜本的な改正は、明治時代の刑法制定から一度もなされてきませんでした。

改正前の刑法では、暴行・脅迫により財産を奪う強盗罪よりも、暴行・脅迫により性的自由を侵害する強姦罪のほうが被害が深刻な場合があり得るのに、法定刑の下限は強姦罪のほうが短く、軽い刑が科され得るのはおかしいのではないか、という批判がありました。このような批判に応える形で、性犯罪についての規定が大きく改正されています。

 以下に、今回の改正の要点を挙げていきます。

 

1.強姦罪が、強制性交等罪に変更されました。

 これまで、強姦罪は、単独で主体となり得たのは男性のみであり、また、被害者となり得たのは女性だけでした。これに対し、被害者が男性の場合は、強制わいせつ罪が成立し得たのみでした。

 今回の改正により、罪名が変わっただけでなく、男性も女性も、単独で強制性交等罪の主体となり得、被害者ともなり得るようになりました。法定刑も、「3年以上の有期懲役」から、「5年以上の有期懲役」に変更され、より重い刑が科されるようになっています。

 

2.監護者わいせつ罪及び監護者性交等罪の新設

 これまでは、強制わいせつ罪。及び、強姦罪が成立するには、その手段として「暴行・脅迫」が用いられていることが要件となっていました。そして、その暴行・脅迫は、被害者の反抗を著しく困難にする程度のものであることが必要とされています。

 しかし、しかし、家庭内での性的虐待については、被害者の拒否が難しいと考えられるため、親などの「監護者」が、支配的な立場を利用して18歳未満の者と性的な行為を行った場合には、暴行・脅迫がなくても処罰することができるものとされ、法定刑も、それぞれ強制わいせつ罪、強制性交等罪と同じになっています。

 

3.親告罪の規定の廃止

 刑事弁護においては、これによる影響が小さくないと考えられます。そこで、この点については、次回の刑事弁護ブログで詳しく説明したいと思います。

 

名古屋丸の内本部事務所 弁護士 安井 孝侑記 

捜査機関から犯人であると疑いをかけられた場合,事案によっては逮捕・勾留されることがあります。当然,事前に連絡などありませんので,日常生活や仕事に与える影響は重大です。これらの不利益を最小限にするには,早期に釈放に向けた弁護活動をする必要があります。 
私が担当した案件では,勾留に対する準抗告を行いました。これは,逃亡や証拠隠滅のおそれがないことを裁判所に訴え,勾留を取り消してもらう手続です。一般的には,勾留からの解放は非常に難しいと言われています。

具体的には,依頼を受けた直後に接見に赴き,捜査機関が問題視している点や手持ち情報を探りました。同時に,勤務先や家族構成など基本的な情報を聴取し,裁判所に説明する上で効果的な証拠が何か検討しました。とにかく早期の解放を実現するには,取り寄せに時間がかかる証拠では意味がありません。

事務所に帰った時間は既に通常業務終了時間でしたが,そのまま深夜まで申立書を書き上げ無事釈放となりました。なお,釈放されても刑事手続が終了したわけではありませんので,そのまま示談交渉等の弁護活動を続け,最終的には不起訴処分となりました。 
当時の疲労度はかなりのものでしたが,事件終了してときの依頼者・ご親族の安心した表情をみると,苦労した甲斐があったというもので,今でも思い出の事件となっています。

刑事事件に関するご不安・ご心配は,弁護士に相談するだけでも軽くできるものも多くあります。お困りの際は,お気軽にご連絡ください。

刑事事件に関して弁護士へのご相談はこちら​​

名古屋丸の内本部事務所弁護士 米山 健太

小牧事務所で執務しております、弁護士遠藤悠介と申します。私が担当した刑事弁護事件について、お話したいと思います。Aさんは,ナイフを用いて強盗を複数件行ってしまい,逮捕・勾留されてしまいました。強盗罪は,刑法に以下のとおり定められております。【刑法236条】1. 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。2. 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。難しい文章となっておりますが,ポイントは,「5年以上の有期懲役」と定められており,通常は執行猶予の判決を受けることができず,刑務所に入らなければならないという点です。そのため,私が最初に当該事件の相談を受けた際には,残念ながら刑務所に入らなければならないであろうと考えていました。しかし,よく内容を聞くと,自首(簡単に説明しますと,犯人が自分で警察署へ出頭することです。)が成立する見込みがあり,これが認められると例外的に執行猶予を受けることができる可能性が出てきました。そこで,私は,Aさんとかなりの数の接見を重ね(数か月にわたり,週に2~3日会いに行っていました。),執行猶予の判決を得て社会で更生の機会を与えることが本人のためにもなると考え,弁護活動を続けてきました。具体的には,被害者への謝罪及び弁償,社会で更生環境を整えること,Aさんに反省を促し書面を作成させること等を行いました。裁判では,Aさんが反省していることを,被告人質問などを通じ裁判官に理解していただくことができ,執行猶予の判決を得ることができました。私が法廷を出た際に,傍聴に来ていた学生が,「犯人はきちんと反省していたね。感動しちゃった」と話をしていたのが印象的でした。犯罪を犯してしまった際に,厳罰を求める風潮もありますが,大切なことは今後犯罪が起こらないようにするためにはどのようにするべきかだと考えています。本件では,実刑を受けて刑務所へ行くよりも,Aさんの今後にとってより良い結果が出たと考えています。 

小牧事務所弁護士 遠藤 悠介

オフィス街に出ると初々しい新入社員たちを見かける季節になりました。また、異動などで新たな職場で心機一転の方々もいらっしゃると思います。

職場では歓迎会が行われることも多いのではないでしょうか。

歓迎会といえば"お酒"、今回は"お酒"にまつわるお話です。

 

人間関係の潤滑油になるお酒も、酔った勢いや高揚感で、無理にお酒をすすめてしまうと、刑事責任が問われる場合もあるのです。

例えば、

・脅迫して無理矢理お酒を飲ませた

  強要罪 (3年以下の懲役)

・「とにかく飲め!」等と飲酒を強要し、相手が急性アルコール中毒となった

  過失傷害 (30万円以下の罰金又は科料)

・飲酒を強要し、相手を急性アルコール中毒で死亡させた

  傷害致死 (3年以上の有期懲役)

等が考えられます。

 

また、飲酒を強要した者のみではなく、その周囲も注意が必要です。

周囲ではやし立てるなどして、新入社員がイッキ飲みをせざるを得ない状況に陥らせた者たちも、共犯として処罰されることがあり得ます。状況次第ですが、強要した者と同等の共同正犯か、正犯者を精神的に後押しした幇助犯(従犯)、傷害現場助勢罪等です。

 

コミュニケーションツールとして活用されるお酒ですが、日本人は遺伝的にアルコールに弱い体質ともいわれます。アルハラ(アルコールハラスメント)という言葉も使われるようになりましたが、楽しいお酒の席が一転、刑事事件の現場となることのないよう、無理なく楽しく、お酒とつきあいたいものです。

名古屋丸の内本部事務所弁護士 奥村 典子

 刑事事件を起こして警察に逮捕された場合、通常は捜査が終了するまで身柄を拘束(勾留といいます)されることになります。 勾留の期間は10日間から20日間というのが原則ですが、示談の成立等の諸事情で検察が起訴を見送らない限り、起訴されて刑事裁判を受けることになります。 起訴された場合、通常身柄は解放されず、引き続き刑事裁判が終了するまで勾留が継続されますが、勾留の期間は数ヶ月から数年にもに及ぶなど、非常に長期になる可能性もあります。 刑事裁判の結果がどうあれ、勾留中の長期欠勤により勤務先を解雇されてしまうなどの事態に至れば、たとえ事後的に無罪判決を勝ち取った場合でも、被疑者本人や家族らの生活に重大な影響を及ぼします。 このため、起訴前段階での刑事弁護により、不起訴処分を勝ち取ることが望ましいのですが、残念ながら起訴されてしまった場合には、長期の身柄拘束による不利益を避けるために、条件が許せば「保釈」の請求を行うことが望ましいといえます。 保釈とは、一定金額の保釈金を納めることを条件として、勾留されている被告人の身柄の拘束を解いてもらうことをいいます。保釈金は、刑事裁判の終了後に戻ってきますが、有罪判決を恐れて逃亡してしまったり、証拠隠滅行為を行ったような場合などは、保釈金は没収されてしまいます。 保釈の請求では、①権利保釈、②裁量保釈を主張することになります。 まず、①の権利保釈とは、重大な犯罪に当たらない、一定の前科がない、証拠隠滅のおそれがない、証人らに危害を加えたり脅したりするおそれがない、等の一定の要件を満たせば法律上の当然の権利として認められる保釈のことをいいます。 もっとも、事務上は証拠隠滅のおそれ等を理由に権利保釈が認められないケースが多く、実務と法律の定めが乖離している部分があります。 ②の裁量保釈は、権利保釈の要件を満たさない場合でも、さまざまな事情を考慮して保釈が相当であると裁判所が判断した場合に認められるもので、実務上は権利保釈と併せて裁量保釈を主張することが多いと思われます。 権利保釈、裁量保釈のいずれにしても、全国的にも、名古屋地方裁判所においても、保釈が認められる割合はこれまで必ずしも高くなかったのが実情でした。 しかし、近年は保釈率は一時期に比べてかなり上昇しており、当事務所が担当した事件でも保釈が認められるケースは増えています。被疑者や家族の負担の軽減、勤務先への早期復帰等の観点から、保釈について検討してみる価値は十分あるといえるでしょう。 保釈の請求は、条文上必ずしも弁護士が行う必要はありませんが、保釈請求に向けた環境調整等もありますので、信頼の置ける弁護士に相談することが望ましいでしょう。 なお、保釈金については、事案の性質、被疑者の経済力等の諸事情によるのでなんともいえませんが、目安としては200万円程度と一般的には言われていますので、参考にして下さい。 

名古屋丸の内本部事務所弁護士 勝又 敬介