刑事事件ブログ
過去の記事を見る
- 2019年10月(2)
- 2019年11月(2)
- 2019年12月(1)
- 2020年01月(2)
- 2020年02月(1)
- 2020年05月(1)
- 2020年06月(1)
- 2020年07月(1)
- 2020年08月(1)
- 2020年09月(1)
- 2020年10月(1)
- 2020年11月(1)
- 2020年12月(1)
- 2021年01月(1)
- 2021年02月(1)
- 2021年03月(1)
- 2021年04月(1)
- 2021年05月(1)
- 2021年07月(1)
- 2021年08月(1)
- 2021年09月(1)
- 2021年10月(1)
- 2021年11月(1)
- 2021年12月(1)
- 2022年01月(1)
- 2022年02月(1)
- 2022年03月(1)
- 1月
- 17日
- Thu
被害者の方の刑事裁判への関わり方
刑事事件に関しては,主に被疑者として警察から捜査を受けることとなった方からのご相談が多いですが,被害者の方からご相談を受けることも増えてきているため,今回,被害者の方の刑事事件への関わり方について,ご紹介させていただければと思います。 刑事裁判における当事者は,検察官対被告人という構図となっているため,刑事裁判おいては被害者の方は当事者ではありません。しかし,実際に犯罪の被害に遭った当事者は被害者の方であることから,被害者も刑事裁判に関わっていけるようにすべきとの考えのもと,被害者の方が刑事裁判へ参加することのできる「被害者参加制度」という制度が設けられています。この制度により,一定の犯罪に遭われた被害者の方が,参加の申出をして認められれば,刑事裁判において意見陳述をすることなどが可能となりました。 このほかに被害者の方に有益な制度として,「損害賠償命令制度」という制度が設けられております。 これまで,被害者の方が,加害者に対して損害賠償を求めるため民事訴訟を提起しようとする場合,刑事裁判の審理が大きく影響してしまうため,刑事裁判の終了後に民事訴訟を提起することを余儀なくされていました。しかし,民事裁判では,被害者に立証責任があるとともに,時間もかかるため損害の回復が遅延するといった問題が指摘されていました。 そこで,「損害賠償命令制度」という制度が設けられ,刑事裁判で一定の対象犯罪について有罪判決が言い渡された後に,判決を言い渡した刑事裁判所がそのまま損害賠償命令の申立てについて審理を行うことが可能となりました。 この制度により刑事裁判の事実認定が損害賠償命令の審理に引き継がれるため,被害者の方の立証の負担が軽減されるとともに,原則4回以内の期日で審理が終結するため,通常の民事裁判によるより,被害者の方への負担が少なくなっております。 上記の制度は,まだまだ一般の方になじみのある制度ではありませんが,被害者の方にとって有益な制度であるため,利用をご検討される場合には,一度弁護士等の専門家へご相談されることをお勧めいたします。
名古屋丸の内本部事務所弁護士 黒岩 将史