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 今回は黙秘権侵害の取調べについてお話したいと思います。
 ここでは,①前提として黙秘権についてご説明し,②現在も黙秘権侵害の取調べがなされていると疑わざるを得ない状況が多々見受けられること,③その場合には,公安委員会や検察庁に対し苦情を申し入れることが有効であることをお伝えします。


1 黙秘権とは

 黙秘権とは,「被疑者があらゆる供述を拒むことができる権利」です。
 これまで,自白をとるために警察官が,嘘をついて利益を誘導したり,脅迫をしたりするなどして,冤罪が生み出されてしまいました。このような歴史的経緯を踏まえて,被疑者には,憲法上,刑事訴訟法上も黙秘権が保障されるようになりました。


2 現在も黙秘権侵害の取調べがなされていると疑わざるを得ない

 しかしながら,黙秘権が重要な権利であるにもかかわらず,現在も黙秘権を侵害する取調べがなされていると疑わざるを得ないと思われるケースに出会うことが多々あります。
 私たちが依頼者の方々から伺ったのは,取調べ警察官から次のような言葉をかけられたと伺いました。
 
 「黙秘していると長くなるぞ」
 「黙秘を続けていたら不利な結果になるよ」
 「●●君が喋らないと,我々は認めているとしか扱えなくなる」
 「しゃべらないんだったら,首を振るなりしてください。それもしないんだったら,肯定したとみなすよ」
 「黙秘をするなんて卑怯者だ」

 これらの警察官の発言は,黙秘権の行使が自由であり,その行使が有利にも不利にも働くことはないはずであるのに,黙秘をすることがあたかも不利であるかのように発言する点で,黙秘権を侵害する重大な違法行為です。
 現に,滋賀県警において,警察官が自白を誘導し,いわゆる調書の「作文」がなされていたことが発覚し,大津地裁にて無罪判決が下されたことは記憶に新しいところです。

 これらの事実からするといまだに警察官は黙秘権を侵害するような取調べを行っていると考えざるを得ません。


3 公安委員会や検察庁に対し苦情を申し入れることが有効であること

 ただでさえ身柄が拘束されていて,かつ密室で取調べがなされていると,精神的にも身体的にも追い詰められてしまい,「本当はやっていないけど,認めた方がいいのではないか」と考えてしまっても当然です。
 そこで,弁護人として,公安委員会や検察庁に対し苦情を申し入れることが有効です。捜査機関は,適切に取調べを行う必要があり,苦情が申し入れられた場合には,公安委員会や,監督官は,調査を行うことが義務付けられています。警察官は調査に応じる負担を課されますし,実際に密室での取調べでの発言が監視されていることが分かることで,取調べ担当の警察官は相当に委縮します。
 仮に警察官が自分の違法な行為を認めなかったとしても取調べの手が緩んだり,苦情申立ての結果,調書の内容が信用できないということになったりし,起訴に至らず,無罪を勝ち取るケースがあります。
 弊所でも複数の事件で,苦情を申し立てたことが効を奏したのか,不起訴に至った実績があります。

 現在,身近な人が逮捕されてしまっていて,取調べに耐えられるのか不安だなどお悩みの方はぜひ弊所までお気軽にご相談ください。

名古屋丸の内本部事務所 弁護士 岩田 雅男